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読書: 福祉工学の挑戦―身体機能を支援する科学とビジネス

 この本は福祉工学という、商売にしづらい分野でいかにビジネスモデルを考え出すか、という著者の伊福部先生の挑戦についてまとめた著書です。このように書くと下世話なように聞こえますが、筆者の福祉工学への誠実さがとてもよく伝わってくる内容です。例を挙げると、指先で音声を聞くという触覚ボコーダ、電気刺激を直接聴覚に送る人工内耳、人工網膜、九官鳥・腹話術師の声真似の研究から人工喉頭(人工の声帯)の研究に発展した話、バーチャルリアリティと福祉の関係、などなど、著者の試行錯誤がわかりやすく解説されています。世界での福祉工学の発展の歴史や日本での歩みなどが多数の参考文献、人物紹介で語られていて、研究の背景を理解するのにとても役立ちました。福祉工学が専門の方はもちろん、障害をお持ちの方、音に興味のあるかたには是非読んで頂きたい一冊です。
 

福祉工学の挑戦―身体機能を支援する科学とビジネス (中公新書)
伊福部 達
中央公論新社
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作成者: YasuKeiichi

音声・音響・聴覚情報処理に興味がある研究者。現在は吃音についての研究を行っている。Linuxを1998年より嗜む。

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